保健科学東日本の最新遺伝子検査
生活習慣病は、決して人ごとではありません。がんはもちろんのこと、糖尿病や高血圧症なども生活習慣病の1つです。原因は、運動不足や偏った食事、飲酒など主に生活の乱れとされており後天的な要素が目立ちますが、実は遺伝という先天的な要素も大きく影響しています。保健科学東日本ではアディポネクチン遺伝子多型検査と、循環器疾患関連遺伝子多型検査を行っており、改善と予防に一役買っています。
アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌される物質です。糖を取り込む働きや脂肪を燃焼する働き、インスリンの感受性を増幅させる働きなどがあります。アディポネクチン遺伝子は人によって違いがあり、G/G型とG/T型、T/T型が存在しています。G/G型の場合は、アディポネクチン濃度がT/T型の約3分の2と言われています。驚くべきことは日本人の40%以上がこのG/G型を持っているという事実です。メタボリックシンドロームの患者はアディポネクチン濃度が低いという共通点があり、2型糖尿病の指標としても注目されています。保健科学東日本で実施されるアディポネクチン遺伝子多型検査は、この性質を利用して糖尿病のリスクを認識する検査です。
一方、保健科学東日本の循環器疾患関連遺伝子多型検査は、人が持つ疾患感受性遺伝子の個体差を調べて、生活習慣病予防に役立てようというものです。生活習慣病は遺伝要因と環境要因が合わさって引きおこるものだとした上で、遺伝要因にもいくつかの疾患感受性遺伝子が絡み合って作用しているという考え方が基本にあります。個人の疾患感受性遺伝子の組み合わせを把握することが出来れば、発症のリスクが解明でき、予防につなげることができるという考えです。この理論は特許として研究者が保有しているため、許諾契約のもと検査を行っています。
保健科学東日本は、薬物代謝酵素関連遺伝子にも着目しています。日本人には15%ほど代謝能力の低い人がいると言われています。人の代謝能力は、CYP2D6遺伝子の多型に関係すると言われているため、この遺伝子を検査することで個人の代謝能力を知ることができるようになるのです。保健科学東日本では、CYP2C19遺伝子の検査も受諾しています。こちらは酵素活性に関係があり、変異が起こると酵素活性が低下するといわれています。これらの検査を行うことにより、前者は治療前の投薬方針の決定に、後者は治療効果の向上や副作用の軽減に役立ちます。