保健科学東日本の事業の概要
保健科学東日本は、医療機関や事業者からさまざまな分野の臨床検査を受託しています。専門的な知識と技術に基づいて医療分野や環境分野に役立つ検査を実施し、地域医療の発展や人々の健康的な社会生活を支えています。保健科学東日本が行う、企業や学校などの事業体の集団検査では、検便や検尿により部位の異常の早期発見、早期治療を促します。検便において赤痢やサルモネラ菌をはじめとする病原菌の検査やノロウイルスの検査を行うことにより、菌やウイルスによる集団感染を防止できます。検尿は、学校や保育園などで児童の健康管理の目的で年1、2回行われる場合が多く、尿中の糖や蛋白の値、潜血の有無などが分かります。
水質や環境検査は、環境の維持や改善に欠かせないものです。工場や各事業所からの排水検査は、下水道法や各都道府県が定められています。保健科学東日本では、水道法第20条第3項に則り厚生労働大臣の登録を受け、公定法による水質検査の排水基準を順守しつつ調査します。また、レジオネラ症の集団感染の原因となる、ビル空調用冷却塔から出る冷却水の水質も調査可能です。ほかには、保健科学東日本は私たちの生活により身近な存在であるプールや水道水の検査も行っており、安全な水質環境の保持をサポートしています。環境面においては、シックハウスやシックスクールの要因となる建物内の有害物質の値を測定します。
食品の微生物検査は、安全な食の供給を行う上で重要です。保健科学東日本では、食材から調理品、加工品に至る食品に関し、危険な食中毒菌の有無や汚染度などを調べます。栄養成分検査では、健康増進法に基づいた各種栄養成分表示、カロリー表示ができるよう検査し、消費者への適正な情報開示の一助となっています。
保健科学東日本では遺伝子検査にも力を入れています。大学研究機関や企業との連携により、幅広い検査が可能です。例えば生活習慣病予防に関する検査では、アディポネクチン遺伝子多型検査や循環器疾患関連遺伝子多型検査があります。アディポネクチンとは脂肪細胞から分泌される善玉物質であり、動脈硬化や糖尿病を防ぐ働きをします。また、近年増加している高血圧をはじめとした循環器疾患の検査では、個人の循環器疾患発症リスクが分かるので、病気の一次予防に役立てられています。遺伝子検査の受託に際し、検体の取り扱いはもちろんのこと、被検者のインフォームドコンセントや個人情報保護にも細心の注意を払っています。